【2019年三が日企画】iPhone VoiceOverで三が日を暮らしてみた
三が日には何か新しいことをしましょう。今年はVoiceOverに挑戦しました。普段使っているアプリをVoiceOverオンにして使ってみます。 選んだアプリは私が普段愛用しているやつ順不同で、「もし失明宣告を受けたら私のiPhone生活はどうなっちゃうんだろう」というシチュエーションでやっています。それと、本体設定が英語なので読み上げは日英混合です。
アクセシビリティとは
世界で最もパーソナルなデバイスは、すべての人が使えるように設計されました。だから、視覚に障がいのある方がみんなとセルフィーを撮ることも、聴覚に障がいのある方がお母さんに国際電話をかけることも、首から下の体を動かせない方が友だちにテキストメッセージを送ることもできます。
視覚障害者の数
ロービジョンの人の割合が思ったより多い。ロービジョンとひとくちにいっても症状は様々なので、アプリの使い方もきっと人によって様々。
Voice Overとは
VoiceOverはジェスチャーで操作する画面読み上げ機能です。画面を見なくてもiPhoneの楽しさと便利さを体験できるようにします。
基本的に、
- 選択したい項目のところをシングルタップ。四角い枠がつく。
- 1.の状態で画面の任意の場所をダブルタップすることで、初めてその項目を選択したことになる。
という2ステップで通常時のシングルタップ操作相当になる。
他にはローターという操作もある。
support.apple.com
個人情報を映しているとき(あるいは視覚情報無しでの操作を試したいとき)はスクリーンカーテンで。
support.apple.com
いろんなアプリを触ってみた
基本操作まわり
テキスト操作
これがめっちゃ難しい。音声入力だけは簡単なのでひとまず安心なのだが、修正やら何やらをしようとすると途端に難易度が上がる。
「VoiceOver」の設定方法②(入力モード~ダブルタップのタイムアウト) | iphoneMAX
是非みなさんもNotesアプリあたりで文章修正やコピーペースト操作に挑戦してみてほしい。
3678 Re: VoiceOverにおけ る範囲選択について - Apple Accessibility Mailing List Archive
行選択やApp Switcherが誤爆してもう無理。私は諦めました。
スクロール操作
UITableViewやブラウザで出したなが〜いページなど。
↑はてなブックマーク - 電話ボックスに侵入して日向ぼっこしている猫が平和すぎてめっちゃ可愛い「いい場所見つけたなぁ」 - Togetterのようななが〜いページでもいちおう大丈夫。
スクロールする方法は2通りあって、
- 3本指で上下スワイプしてページめくりする
- ローターメニューで適当なものを選択した後にシングルスワイプで項目移動する
しかし任意の位置にスクロールができないので、レイアウトによっては若干つらさがある。どういうことかというと……
ナビゲーションバーや広告で隠れてしまう部分(右側のスクショの灰色にした部分)にフォローが入らないということである。任意の位置にスクロールできないので何が書いてあるのかすぐに確認できない。項目移動であっても、やっぱり他のコンテンツに隠れていたり、一気に下方に飛ばされるなどして厳しい。
UIPickerViewは「pickerviewを選択→シングルswipe up/downで1つずつスクロール」なので簡単。
Twitter関連
私は普段公式アプリではなくThe Worldを使っている。で、VoiceOverにすると途端に使えなくなってしまうのがこのThe Worldのようなアプリ。シングルタップやダブルタップにアクションを割り当てるなどと言っている場合ではなく、大半の操作が不可能になってしまっている。そういう仕様のアプリだし個人制作の無料アプリだから仕方ないんですけど。
Twitter公式アプリはアクセシビリティ対応済みで、Cellを選択するだけで「ツイート主〜ツイート内容〜リツイート主」と一通り読み上げてくれて便利。ツイートを時系列順に戻せとか文句垂れてる場合じゃない。
↑「しもとりミドルドットニートミドルドットしぐれ, 三が日企画には早いけどでアクセシビリティ機能onにしたらゲームで遊べなくなったミドルドットミドルドット, 1 day ago」。リプライなどのボタン類はタップしても一切反応せず、ローターメニューから行えるようにしてある。
Slack
VoiceOverがDroidKaigiをどろいどけーじーって読む(´・ω・`)
大人気アプリなので完全対応されているのでは!と思ったら、使えそうで絶妙に使えない。
- 未読件数どころか未読があるかどうかすらも読み上げてくれないので、どのワークスペースやチャンネルを読んだらいいのかわからない。
- リアクション周りが非対応。
ほか、いろいろ。デスクトップ版の方の使い心地は試してないけど、視覚障害の方がいるコミュニティでのiOS Slack利用は正直お勧めできない。せっかく便利なのに残念だ。今後対応してくれるのかな?してくれると嬉しいね。
↑上の発言は「s_shimotori, おいしいものがたべたいな, 6:11 PM, December 30th, 2018two reactions」。このtwo reactionsとはtwo types of reactionという意味であり、何人が寿司とピザをリアクションしようともtwo reactions。詳細画面に行きさえすればリアクション内容や人数も喋ってくれる。
↑下の発言は「s_shimotori, 人の金で, 10 minutes ago」(10分後に読み上げてもらったとき)。取り消し線の読み上げは無理だった。
スクリーンショット加工
VoiceOverオンの時にスクリーンショットを取ると、左下ににゅっと顔を出すプレビューにフォーカスが移るので、そこから加工画面にいける。しかしここで求められているのはハンドルをドラッグするなどの操作であり、VoiceOver使用時は何もできない。
Safari
他と同じように操作できる。あとは各サイトさんのアクセシビリティ対応次第。
どこでウィンドウ閉じるんだろう?と思ったらローラーメニューにちゃんと設定してあった。
乗換NAVITIME
乗り換え案内を華麗に読み上げてくれると思ったのに!
情報量が豊富なのが仇になっている感じ。例えば次の箇所を選択して読み上げてもらうと……
「ブラックアップポインティングトライアングル、ブラックダウンポインティングトライアングル、籠原行、7、5、JR高崎線、番線、番線、発、着、154円、5分」
つらいっす。
日経電子版
記事の個別ページで操作と読み上げが効かない。つらい。記事一覧は読めるので、1日何があったかくらいはわかる。
写真がメインコンテンツではあるが、Photosアプリみたくちゃんと写真の中身を読み上げてくれる。
↑「Photo via S_Shimotori, Image may contain fruit and food, Image」
めっちゃおいしいいちごとメロンのパフェとか読み上げてくれたら最高なんだけどなー。将来的にやってくれればなー。
MoneyForward
非対応っぽいけど使えないことはない……と思ったがカテゴリ選択が操作不能なのでやっぱ厳しかった。
↑ここからアクションが発生してくれない。
(おまけ)ゲーム関連
VoiceOverをオンにしたらどうなるのか。
FEヒーローズは謎のTextFieldが邪魔して何も操作できない。挙げ句の果てにはキーボードが出てきてしまった。しかもしまえない。どこに隠れてたのか逆に気になってきた。
どうぶつの森はいつも通りのプレイ。
ゲームがVoiceOver対応していることはまずないだろうけど、あなたは徐々に失明してゲームもままならなくなりますとか言われたら泣いちゃう。
まとめ
- 健常者に使いやすいUIが視覚障害者に使いやすいとは限らない。というか凝ったものほど使いづらいのでは…
- 有料版があるようなサービスでも完全対応しているわけじゃないみたい
結構便利で愛用しているアプリがいくつかあるのだが、目が見えなくなったら下手すると使えなくなるんだと思うと悲しかったり寂しかったり。
みんな、余力を見つけて開発していこうな!